2016/03/12

アンロック


「先生、ほら、雪の結晶」
「本当だ。綺麗だなあ」
「雪の結晶は、ひとつひとつ微妙に形が違うんですよ」
「ほぅ、何でもよく知ってるんだね、君は」
「なんだか、空から降ってきた暗号みたいで、面白いですね」
「そうだね」
「ねえ、先生!もしもあたしが雪の結晶を解読出来るとしたら、どうしますか?」
「ははぁ。それは面白いな。じゃあ、雪の結晶がどんなメッセージを構成しているのか、ちょっと教えてもらおうかな」
「はい!それじゃあ、まず、『はじめまして』」
「なんだそれは?」
「雪の結晶のメッセージは、『はじめまして』 から始まるんですよ」
「ふぅん?」
「それから、次は、『これからもよろしく』」
「ははは」
「それから、次はですね。『こんにちは、今日もお変わりなく』
「はっははは。面白くなってきた。それから?」
「次は、『それではまた明日』」
「ははぁ。で、その次は?」
「……」
「言えないのか。それじゃあ俺が言ってやろう。次のメッセージは 『さようなら』 だ」
「そうですよ先生!やっぱり先生も解読出来ていたんですね!でも…それで終わりじゃないんです。…さらに 『また逢う日まで』 と続くんです!」
「そうだね。その通り」
「♪ ゆきーがとけてっ、かわーになってっ ♪」
「♬ 溶けて流れりゃ、みな同じ…。それではまたその時まで、ごきげんよう……
「あっ、ちょっと待って先生!今度出会ったその時のために、鍵(キー)を確認しておきたいんですけど。あれっ?…ねえ先生…姿が見えません…。せんせーーっ?どこ行っちゃったんですかー?……」

いずれまた続く。