2015/05/19

ハッシュ


「ねぇ!先生!お願いがあります!」
「んーーー?」
「あたしに瞬間移動の方法を教えて下さい!」
「え?瞬間移動だって?それなら△△先生に訊いてみたらいいだろう?」
「やだー。だってあの人、インチキばっかりのヘンタイなんだモン」
「うむ、それはそうかもしれないが、だからって、なぜ俺が」
「もう先生しか頼る人が居ないんです!先生は月世界のかぐや姫としょっちゅう会ってますよね。ねえ、せんせー、あたしにも瞬間移動の方法を教えて、お願い」
「うーむ、瞬間移動か……いやぁ、ちょっと厄介だぞ」
「なにが厄介なの?」

「あのねぇ。瞬間移動するためにはね、要するに、物理的な実体である君を論理的な記号に分解しなければならないんだよ」
あっ!もしかして~、映像とか音声をデジタル変換して転送するっていうやつ?
「まぁ、それに似ている。君の肉体は全てが記号化され、信号化されて、光の粒子になって移動していくんだ」
「ふーーーん……でもさー、それって、またもとの実体に戻すと、何かが消えていたりするんじゃない?」
「そうだ、そのとおり!君は賢いなあ、そこまで考えが働くのなら、瞬間移動のおそろしさも分かるだろう ─ さあ、もう帰れ。それから宿題忘れるなよ」

「ちょっと待って先生!記号が実体に戻った時に、『何か余計なものが付け加わって』 しまう場合もあるの?」
「むぅ?…まあそういうことも、あるかも知れないなあ…さあもういいだろう、帰って宿題やっとけ」
「うん、わかった」
「むぅ?…まあそういうことも、あるかも知れないなあ…さあもういいだろう、帰って宿題やっとけ」
「だから、もう分かったって」
そうだ、そのとおり!君は賢いなあ、そこまで考えが働くのなら、瞬間移動のおそろしさも分かるだろう ─ さあ、もう帰れ。それから宿題忘れるなよ」
「もう、それは分かったから、先生」
君の肉体は全てが記号化され、信号化され、光の粒子になって
「先生、なに言ってるの?」
「うーむ、瞬間移動か……いやぁ、ちょっと厄介だぞ
「先生、なんかおかしいよ?!」
うむ、それはそうかもしれないが、だからって、なぜ俺が」
「あのぅ、あたしもう帰ります、じゃあさようならっ!」
「え?瞬間移動だって?それなら△△先生に訊いてみたらいいだろう?


ずっと続く

謝辞

ここに提示の記事は、いずれも私自身の判断責任のもと編集・投稿したものです。

大半の投稿は学生など若年層向けを意図してやや平易な表現にて、一方では通俗性を極力回避しつつ、論旨の明示性を意図して書き綴りました。

あわせてまた、社会人の皆様にお読み頂くことも想定しつつ、汎用性高い観念知識を相応に動員しながら記した積もりです。

私なりの思考着想によるささやかな閃きが、皆様の諸活動にて何らかの光源たり得れば、望外の喜びであります。

山本