2017/03/01

アップル・パイ

「ねぇ、先生っ~~!あたし、アップルパイを焼いたんですけど、召し上がりますか~?」
「ん?そうか。それじゃあ、ちょっと貰おうかな」
「ハイ、どうぞ!」
「うん、ありがとう」
「……ねえ先生、ここにアップルパイが在ることは、認識出来ますか?」
「え、認識?そりゃあ、まあ、じっさいにこうして、美味しく頂いているからな」
「でも、それは先生の勘違いで、本当はアップルパイなんか無いかもしれませんよ」
「はははは、なんだそれは?ヘンなママゴトのつもりか?」
「…ねえ、もしも、ホントはここにアップルパイが実在していないとしたら、実在しないってことを先生はどうやって証明しますか?」
「あ?なんだなんだ?本当はアップルパイが無いとして…ん?ははは、ば~か。実際にいまここに在って、俺がこうして…もぐもぐ…食ってるじゃないか、これ、甘くて美味しいぞ」
「それじゃあ、先生自身がホントは実在しないとしたら、どういうことになるんですか~?」
「ん?なんだと?俺が実在しないとして…?」
「そうよ、先生は実在しないの。何もかもあたしのフィクション、だから、なにひとつ実在証明なんか出来っこない、と、いうことは、実在しないことも証明出来ないのよ ─ あっ!ねえ、先生っ!先生~~っ!美味しいアップルパイが焼けたんですけど~、召し上がりますか~?」


おわり

謝辞

ここに提示の記事は、いずれも私自身の判断責任のもと編集・投稿したものです。

大半の投稿は学生など若年層向けを意図してやや平易な表現にて、一方では通俗性を極力回避しつつ、論旨の明示性を意図して書き綴りました。

あわせてまた、社会人の皆様にお読み頂くことも想定しつつ、汎用性高い観念知識を相応に動員しながら記した積もりです。

私なりの思考着想によるささやかな閃きが、皆様の諸活動にて何らかの光源たり得れば、望外の喜びであります。

山本