しかも昔からずーっと改善されていないようで。
まったくもって安易であり、横着であり ─ つまりはぜーんぜん頭を使っていないようである。
以下にまとめてコンパクトに反論しつつ、僕なりに考えるまともな頭の使い方を記す。
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① SVOCで文章を類型化しても、英文解釈とはならない!
とにかくヴォキャブラリーを増やせ!
まずは、ちょっと飛躍するようだが、以下のような化学式について考えて欲しい。
(化学式そのものを理解出来ようができまいが、ここでの引用の意味について無理やりにでも理解して欲しい)。
NH3 + HCl → NH4+ + Cl-
「ハーイ、これは配位結合式ですね、おわり」…という具合に、これで1つの命題解釈は終わる、かもしれないが、実際の化学の論題はそんなものではない。
そもそも NH3 とは何か、HCl とは何か、そして NH4+ + Cl- とは何か、どういう電子対にどういうイオンが配位結合したといえるのか、といった科学的属性によってこそ、イオン反応が決まっている。
しかしながら、イオン反応の類型によってこれら化合物が決まるわけではない。
更に実際の論題は、これら化合物のイオン反応に則った引用や実証例が挙げられたり、展開論が転々と演繹されたり、疑義反論が挙がったりして、一応の総論に至る。
だから、NH3 やHCl の属性について知らなければ、「これは配位結合式」などと類型パターンを覚えたところでどうにもならない。
…と、ここまでふまえて。
さあ今の引用についての英文解釈を考えてみる(とはいえ、ここは僕なりの強引な英作文)。
Ammonium has its own redundant lone-paired electrons neutralised with outer positive-ionised hydrogen, which in turn form coordinate-bonded molecule composites as of NH4+ ... .
こうやって英文にしてみると、早速またまたSVOCを持ち込む先生が多いんだね。
「はい、いいですか~、Ammoniumが主語(S)で、hasが動詞(V)、neutralised はhasを受けて分詞になってますね~、positive-ionised はhydrogen を修飾してますよ~、formもまた動詞(V)で~、molecule compositesが目的語ですが、この場合はそれ自体がそうなるのですから目的補語(C)といってもいいかもしれませんね~」
いったい、こんなふうに文章の類型回帰をいくら続けたところで、それで英文の何が理解出来るというのか。
こんなもの英文解釈の講義でもなんでもない。
これらのneutralise, ionise, cordinate, composeという動詞、およびammmonium, electrons, molecule, hydrogenといった名詞、これらの限定的な意味の合算によってこそ、この文意が成立している。
それをいちいち動詞だ目的語だと類型回帰するのは、文意の無機的な分解でしかない。
まして、これらヴォキャブラリーの意味を知らなければ、現実的な英文読解の論説文についていけるわけがない。
では英文法には意義が無いというのか!と気色ばむ人もいるかもしれないが、そうは言ってない。
ここでは、英文法そのものがヴォキャブラリーによって決まるのだ、と念押しをしているに過ぎない。
とにかくヴォキャブラリーを増やしなさい、類型化で誤魔化して逃げるのはやめなさい。
学生たちへ、というより、これは英語教育に携わっている全ての人たちへのお願い、無意味なトークでカネを取るのはよせ。
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② 読解の速度を上げることを心がけよう。
化学式でも、経済学でも、簿記でも情報処理でも、そして外国語の理解においても、接する上での適度な速度というものがある。
入試英語の文章くらいになると、普通以上の思考速度の人が書いたものだと考えた方がよい。
だから、出来れば執筆者に近いスピードで読解出来れば素晴らしい。
それを、SVOCなどといちいち類型回帰ばかり熱心に、ゆ~っくりゆ~っくりと、常人の意識の数倍もの時間をかけて読んでいてはいけない。
相撲やボクシングやサッカー中継をとてつもなく減速再生するがごとしで、何やってるのかまともに理解出来るわけがない。
(敢えてゆっくり、ゆっくりと解析してメリットがあるのは、きっと学術論文や法律における「解釈論争」の時くらいだろう。)
速く読解するポイントは、たった一つ、ヴォキャブラリーを増やし、文意ひいては文脈を確実に捕捉すること。
そしてこれには効用が十分にある。
①に記したとおり、ヴォキャブラリーの組み合わせによって文意は決定される ─ つまりは、「ヴォキャブラリーには用法の相場というものがある」。
文章を速読することで、その相場を実感することが出来るようになる。
ちょっとヴォキャブラリーを目にしただけで、「あぁこれは途上国の政策と利害損得についての論説だな」という具合に、読解の心構えも定まってくるもの。
もちろん、あらゆる英文読解がそうとは限らないが(一橋や東京外語大の出題のように主題を掴みにくくイライラさせる英文もあるが)、そこを我慢して読み進めるだけの忍耐力も、速読力によってこそ培われるものである。
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③ 英語は博学のツールである。
少なくとも英文解釈に理科系と文科系の分類などないので、一切意識せず、日頃から広範な学識に触れること。
英語はおもに科学技術と戦争とスポーツとビジネスと司法で発展してきた言語であり、したがいあらゆる実在を対象として、論説を進めるツールである。
あらゆる実在を対象とする以上は、その対象物は結局のところ、(日本人のいわゆる)理科系分野が対象とする素材や現象となる。
ゆえに、英語の動詞も理科系のコマンドがほとんど。
大学入試だけが英語学習の目的ではない
─ それはその通りだが、しかし博学的な見識を広めるツールとして、入試英語はけして無駄ではない。
その一方、英語教育において理科系とか文科系と分けたがる人たちには何ら論拠は無いように察せられる。
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④ 英作文は、おのれの最も使いやすい名詞と動詞をまず据えることで、論理的にまとまった英文が書きやすくなる。
採点者は英文法と語法の正確さを見るのですよ、という。
それはもちろんそうだが、しかしそれだけなら個々の箇条書きで済まされるものに如かず、着想力を見極めることにはならない。
特に女子に多いのが、バラバラな表現をほわんほわんとくっつけ合わせる技法。
個々のディテールは丁寧だが、全体としてパンチの効いたシンプルなメッセージとはなりにくい。
(床屋で女性の理髪師に切ってもらうと、実に細やかに、そしてやさしく丁寧にカットしてくれるが、髪型としてはあまりインパクトが無い ─ それに似ている。)
ここで、ふと思いついた【例題】 ─ 以下の日本語を英訳しなさい。
『今日は休日で朝からプレステの野球ゲームにふけっていたら、いつの間にか日が暮れており、シャツを干すのを忘れていた。』
最初から一筆書きで文章をつくろうとすると、途中で時間の前後関係や事態の因果関係が循環してしまい、あるいはバラバラに乖離してしまい、どんどん書きにくくなる。
まず、誰が、どうする ─ この「どうする」を具体的に思いつくまま書いてみる。
そこで思いつく動詞が名詞とのコンビネーションを決め、時制も不定詞も態も決める。
(1)今日は休日「であった」…すぐ思いつくのはbe動詞、だがenjoyを使ってもよいし、spendを用いても悪くなさそうだ。
(2) ゲームに「ふける」…spend, be engaged in, forget, enjoy, drown などを思いつくか。
そうすると、たとえばこんなフレーズが出来る。
I spent hours in Playstation baseball games.
I have been engaged (caught) in baseball on Playstation gadgets.
I forgot hours passing by while I enjoyed Playstation baseball.
(3) 「日が暮れる」…こちらはあまり思いつかないが、set, end, go down などをひらめくか。
The sun already set.
The sunshine went down.
The daytime ended.
It was already late evening when ...など。
(4) 次に、シャツを「干す」…dryが妥当だが、exposeも使えそうだ、もっと大胆な動詞用法でairというのもある。
それを「忘れた」のだから、たとえば。
I forget to dry my shirts.
I missed chance to air my wet shirts.
I regret I didn't expose my wet shirts to sunshine.
以上のごとくパラパラとひらめいた(1)~(4)を、ササッと問題用紙にメモれればよし。
いよいよここからが、自己流の着想力の見せ所。
ここで動詞同士の最適な連結を図る、と、たとえば(1)と(2)でともにenjoyやspendを起用していることに気づく。
それならば、Today I enjoyed my good holiday hours on Playstation baseball games.
(3)と(4)もくっつけると。
Today I enjoyed my good holiday hours on Playstation baseball games, "so" I forgot to dry my shirt "before" the sun set.
これが一番わかりやすい時系列。
ただ、 ここでは「干す」と「日」は因果関係そのものなので、それらをまとめてもっと洒落た表現だって出来うる。
Today I devoted myself to Playstation baseball game until the late evening, when I noticed I missed my holiday chance to have my shirts "dried in the sunshine hours".
ちなみに、Playstation と baseball と game という名詞をズラズラっとぶっ続けで一つの名詞としても構わない、いや、むしろその方がいい。
名詞を捻出するさいは、フランス語などのような"A of B"の型はあまり使わない方がよい。
その理由は、ofでズラズラと連結すると、何が何に含まれているのか或いは同等なのか、だんだん判然としなくなるからである。
以上