2012/07/07

銀河のビリヤード


ある特定の光、エネルギー、そのスピードとその配置。
感受することの出来るのは、限られた人々だけ。

つまり…特定の連中だけの特殊な能力、なのだろうか?

逆だよ、逆。
本来はあらゆる生命が、あらゆる光やエネルギーを感受していたはず。
だが一方で、それらを感受出来ない種族もいて、そいつらは自らに明らかなものだけを何とか他者と共有はかってきた。
だから何でも記号化し、数量化し、言語化し、概念化してきたわけさ。
そうやって、言語化や概念化が進むとともに、それに適合した人たちが時代とともに増えていく。

そう、…その結果としての、我々人類なんだよね。

うーむ。
きっと、そうに違いないね、なんだか哀しい進化論だけどさ。
進化論というよりは、退化論だなぁ。
でも、哀しいってことはないだろう、事実を何でも客観化してこそ、今の我々の技術文明があるんだ。

 …と、まあ、こんな具合に、ロケット乗組員の男たちが談笑していた。



そのとき、ある星座が、かすかに変わった。
乗組員で一番年下の青年が、確かにそれに気づいた。
そこで、急いで皆に伝えようとした。
「おい、おまえよ」 と、同僚たちが呆れた声を挙げた。

「一人で訳の分からないことを言うな。さぁ、航行データの集計に取りかかれ!」


さて。
そのとき、別のロケットに搭乗していた観測員の娘も、その星座の変動に気づいた。
「何かが、変わったみたい…」
「あなた、疲れてるんじゃないの?」 と同僚の女性が笑った。

「それより通信系の精度確認しっかり頼むわね、ノイズ発生率は常に最小限に抑えないと」



かくして。
2機のロケットは互いに認知することもなく、遥か彼方をすごいスピードですれ違い、そのまま銀河の彼方へと飛び去って行くのだった。


(おわり)

謝辞

ここに提示の記事は、いずれも私自身の判断責任のもと編集・投稿したものです。

大半の投稿は学生など若年層向けを意図してやや平易な表現にて、一方では通俗性を極力回避しつつ、論旨の明示性を意図して書き綴りました。

あわせてまた、社会人の皆様にお読み頂くことも想定しつつ、汎用性高い観念知識を相応に動員しながら記した積もりです。

私なりの思考着想によるささやかな閃きが、皆様の諸活動にて何らかの光源たり得れば、望外の喜びであります。

山本