2014/06/26

ジュゲム寿限無

「おい、俺たちはみなBTSTBTSTBTSに集合しているぞ、打ち合わせが始まるぞ、なぜあんただけ来ないんだ?」
「へぇ?そんな約束、していましたっけ?」
僕はとぼけた声を挙げた。
「してただろ、何を言ってんだあんたは、メールをチェックしてみろ!」
「分かりました」
僕は早速、今朝入信したメール300万件のうち、「BTSBTSTSBTS」 のワードにヒットするもの3000件を抽出し、それから、「打ち合わせ」 の語でさらに検索すると、18件のメールに絞られた。
それらを全部、大急ぎで速読して、「あのぅ、やっぱり今日の打ち合わせの指示連絡は、無いようですが」
「そんなはずは、ないだろう、BTSTBTSTBTS だぞ」
「あっ」
僕は気づいた 「失礼しました!僕が検索していたのは BTSBTSTSBTS に関するもので」
「なにやってんだ、おい、もう一度メールをチェックしてみろ!」
あらためて、今朝入信のメールで再検索をすると、今度は5万件が抽出され、そこから「打ち合わせ」の語でさらに検索すると、685件のメールが該当したので、これらを大急ぎで速読。
「あのぅ」 僕はうんざりしながら答えた 「やっぱり、そんな指示連絡は頂いてないようですよ」
「なにを言ってんの?しっかりしてくれよ!ワタナベイトウササキカバヤマ部長から連絡が有ったじゃないか!」
「ワタナベイトウササキカバヤマ部長…?」
なんとなく、妙な気分がした ─ そんなような名前の部長が、5年くらい前に死んでいたような。
そういえば、さっきから電話で話しているこの相手、いったい誰だったっけなぁ ─ 。

 

(養老孟司先生に触発されて)