「んー?なんだ?」
「千里眼の手品をやって見せて。出来るんでしょう、先生」
「うーん…いいよ、じゃあ、ほんのちょっとだけ。そら、そこに一組のトランプカードがあるね。それを適当にくってごらん」
「はい……、えーと、こんなもんでいいですか?」
「ああ、それでいい。じゃあ、それらのカードを俺に見せないまま、君のお気に入りを1枚だけ取り出して、そのまま伏せておけ」
「…ハイ」
「よし、そのカードを当ててみせよう。ハートのQだ」
「あっ!当たり!へぇーーー、どうやって当てたんですか?」
「透視したんだよ。どうだ、驚いただろう」
「…ねえ、もう1回やって見せて」
「よーし、じゃあ今度は3枚でやってみよう。さあ、カードをくって」
「ハイ」
「そこからお気に入りのカードを3枚取り出し、伏せてそこに並べてごらん…よーし、全部当てるぞ、スペードの7、ダイヤの4、ハートのA」
「わーーっ、全部当たり!先生、また透視したんですね。ふーーーん」
「このとおり、百発百中だ。見えないはずのものが、見えてしまう」
「ふーーーーーん」
「あははは、どうだ、面白いだろう。もちろんトリックだ、種は明かせないけどね」
「いーえ、トリックなんかじゃないわ。あたし、分かったんです!先生は本当に千里眼を使ったんですね。だからカードの数字を見抜けるんですね。百万回でも、百億回でも!」
「なんだとっ?どうしてそんなことが君に言えるんだ?」
「どうしても」
「あっ!やっぱり、君は!」
「そうよ、そのとおり。ふふっ、とっくに分かっていたくせに」
「おいっ!君はその能力で、何をしでかすつもりだ?!」
「ふふふっ、それも分かってるくせに~ ♪」
おわり