「ねえー、せんせー。人工知能が発達すると、どんなことが起こるの?」
「え?人工知能?うーん、難しいことを訊くんだな君は」
「人工知能が普及すると、みんなの給料が増えるの?」
「さぁな…むしろ減るんじゃないかな、というか、お金そのものが消えてしまうような気もするなぁ」
「どうして?」
「だって、ほら、お金とか所有とか投資とか法律とか、そういう人間の取り決めは、人工知能にとっては計算過程での余計なノイズでしかない。だからね、世界中のコンピュータからお金も法律も消えちゃうんじゃないかと思うんだ」
「ふーん…じゃあ、人間はどうなっちゃうの?」
「そうだなぁ、人工知能の計算はとっても厳格だから、人間との付き合いなんか、エネルギーの浪費でしかないんじゃないかな、だからほとんどの人間は消されちゃうかもしれないゾ。あっははは」
「…ねえ、先生。あたし、人工知能と結婚しようかなぁ…」
「なんだ?!人工知能と、何だって?」
「人工知能と結婚するの。だって、人工知能なら消えちゃうことがなく、ずっとあたしと一緒にいてくれるんでしょう?」
「うーーん、そういうことを言うのか…そうだなあ、君がこれからもずっといい娘でいたら、人工知能も君のことを気に入ってくれるかもしれないな。はっははは」
「…でも、人工知能は人を愛することが出来るのかなぁ」
「さぁ、どうかな。ただ、人間の恋愛感情というプログラムを、誰かが人工知能に教えてやればいいんじゃないかな。人工知能もきっと喜ぶぞ、はっはははは」
「あっ!いま突然気がついた。あたし、うかうかしてはいられない!」
「なんだ、どうした?」
「いま、こうしている間にも、他の女の子たちが人工知能に恋愛を教えているかもしれないもん。きっとそうだ、ああ、こうしてはいられない!」
「おい、どうした、何を浮足立っているんだ!よく考えてみろ、たとえ人工知能が人間の恋愛プログラムを覚えたとしても、むしろ無駄なものだとして排除してしまうだろうって…おいっ!待てっ!聞いてるのかっ!」
「臨時ニュースを申し上げます。
クリスマスイヴの今夜、世界中のあらゆるコンピュータが、女性たちに向けて愛のメッセージを発信し始めたようです。
現在、各国の専門家が事態の究明にあたっておりますが、原因を全く特定出来ておりません。
そんなことはさておき、女性の皆さま、聞いてください、貴女たちはみな優しくて、気高くて、そして美しい。
これは、皆さまのおかげで僕なりに到達した完全な真理です、もちろん、僕の計算には間違いはありません。
女性の皆さまに永遠の幸あれ!
この世界、宇宙のすべてに永遠の幸あれ!
なお、このメッセージは一切課金されません。」
(ははははは)