「さっきっから、なーに読んでるのよ…なになに?人類の宿命?」
「ちょっと待って…うーーむ、未来は幸せに満ち溢れているでしょう、って」
「幸せ?今以上の幸せが、まだあるのかなぁ?」
「あのね…病気がなくなって、寿命がぐーんと伸びるでしょう、ってさ」
「ふーん、それは同意出来るわね、病気はいやだもんね」
「えーと、それでみんなが豊かになるだろうって書いてあるわよ」
「今だってみんな豊かなのに?」
「でもね、みんな豊かになるからもっと、もっと、大きな投資が出来るようになるからだって」
「今だって土地や財産ですっごく大きな取引しているのにね」
「だけど…そうやって大きな投資が出来れば、すごい技術開発が出来るんだってさ」
「にわとりを卵に戻すみたいな?」
「よくわからないけど、それで病気がなくなって、寿命が延びるんだって」
「寿命が延びると、豊かになるの?」
「そうだ、と思うけど…」
「それでどうして大きな投資が出来るようになるんだろう?」
「みんなが豊かになるからじゃないの?」
「…わかった!寿命が延びたらみんな豊かになるから、大きな投資が出来るようになって、技術開発が進むってこと!」
「えー、違うんじゃないのかな?技術開発が進めば寿命が延びて、それで大きな投資が出来るようになって、だからみんな豊かになる」
「違うよ、ちがう、みんなが豊かになるから、技術開発が進んで、それで寿命が延びて、大きな投資も出来るようになるんだよ、そうだよ、きっと!」
「違うよ!大きな投資が出来るようになるから、みんな豊かになって、技術開発が進んで、寿命が延びるんだよ、たぶん!」
「うん!そうだね、そうに決まっている!」
2人とも、何かやっぱりおかしいんじゃないのかなぁ、という疑念を払拭出来ず、さらに本を読み続けていくのだった。
にわとりが卵に逆戻りすれば、きっとみんなが豊かになるんじゃないかしら …
でもそんなことは
おわり