ユニヴァース
「ねえ、先生」
「んー、なんだ?」
「あたし、ちょっとへんなことを考えているんです」
「変なこと?どんな?」
「たとえば、大都会の雑踏を眺めていると、ものすごい数の人間を目にしますよね、でも、その人たちのほとんどは実は宇宙人じゃないかって」
「へぇ?そうかい」
「こんなこと考えるあたしって、おかしくないですか?」
「特におかしいとは思わないよ。僕だってね、サッカーや野球のスタジアムで観客席を眺めまわしているとね、みんなロボットに見えたりする」
「…ねえ先生、地球の人類は70億人以上も存在していることになっているんでしょう?そんなこと、どうやって確かめているですか?」
「さぁ、それは難しいな。各国政府がちゃんと人口を捕捉しきれているかどうか。それに、ネットや金融機関などのアカウント数を集計するにしても、一人で複数アカウントを持っている場合も多いし」
「じゃあ、じっさいには、人間以外の者もかなり混じっているかもしれないんですね」
「ああ、そうかもしれん……そういえば、君も、なんとなく不思議な感じがするなぁ」
「あはははは、ねえ先生、本当はあたし自身が宇宙人だトシタラ、ドウスル?アハハハハハ」
「さぁ、大して驚かないよ、だって僕自身がロボットナンダカラ、ハハハハハ」
おわり