2018/10/14

007考

ジェームズ・ボンドは、広く知られるとおり架空のそして究めて腕利きの、英国の諜報活動員であり、小説としてもお馴染みで、映画にてはもっと名の通ったヒーローということに「なっている」。
※ なぜ諜報部員のジェームズ・ボンドがヒーローたりうるのか、そこのところは本稿の後半で記す。

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まず着目したいことだが、ジェームズ・ボンドは'007'(俗称ダブルオーセヴン)とのコードネームを使っている。
このコードネームとは何か?
ジェームズ・ボンドという素性を明かさぬための…というより、ジェームズ・ボンドなる人物名そのものは明かしてもよいのだろうか?
創作作家のフレミングは、どう考えていたのだろう?
こういったところ、ネットでコチョコチョと調べたところで、フレミングの意向そのものが多少は分かるにせよ、この物語は実在の英国の諜報活動にもちらっと重なっているところあり、つまり主題そのものがシリアスなだけに、真相は却ってウヤムヤにされているかもしれぬ。

とりあえず想像で記す。
この'007'は、暗号における鍵のごとくおかれたナンバーかもしれない、とすると、コードネームというよりは「キーネーム」ってところか?
例えばだが、公開鍵方式の着想のごとく、ジェームズ・ボンドなる人物までは敵味方とわず皆が知っている、が、しかし007としての彼の使命まで知り尽くしているのはいわゆる「ボンドガール」のみなのよ、ふふふっ、ということなのだろうか?

数学がらみで言えば、そもそも7という数には魔性がある。
素数としてみれば、2,3,5 に次いで登場する、が、2,3,5 が和算や積算にて収まりのよい数である反面、7 はいかん、チェスでいうナイト駒のような厄介な変化を継続する。
また一方では、古代ギリシア以前から、人間が一度に覚えられる数量は7つが上限だとの見方もある。

だから、敵の陰謀団としても007という呼称を聞くたびにチラッと焦り、あれ?007って、あいつだったかなあ…?と心配し、ああそうだ、あいつだよあいつ、と思い出し…まぁ、こんなふうにヒヤヒヤさせる効果があるのかもしれぬ。

いや。
本当は、この007における'7'とは元素番号で、つまり「窒素」のことではないだろうか?
ジェームズ・ボンドがいわゆるボンドガールたちと協働してゆくうちに、硝酸やニトロ火薬のように…ドカーーーンと。
そもそも、007というこの3桁のナンバリングからして、似たような超人級のやつが少なくとも100人以上は揃っているんじゃないかと、ちょっとビビるよね?
元素だって100種類はゆうに超えているわけだし。
それでいて、ジェームズ・ボンドは007というじつに若い番号なのだから、ほとんどトップクラスの諜報部員にして、しかも若々しくて手ごわい奴、ってことにならないかな?

全然関係ないが、もしかして、ゴルフの7番アイアンに所以があったりして。
なお、トランプカード13枚においては、7はド真ん中だ。

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さて。
以降はちょっと社会科的なアプローチだ。
(そういうのが嫌いな人はもう読まなくてよいです。)

このジェームズ・ボンドの映画にて、何の篇話だか忘れたが、えーと、なんだっけ?特殊な周波数だか放射線だかによって紙幣の品質を変えてしまうという陰謀譚があった。
そのさい、「紙幣を劣化させて巨大なインフレを引き起こすのか」と尋ねるシーンがあったと記憶する。
しかしこの時に僕が考えたことは、紙幣が「使い物にならなくなる」としたら、経済社会の全体の通貨流動性が著しく鈍化し、よってインフレどころか物凄いデフレが起こりうるってこと。

このように経済論を持ち上げてみること、一応は意味がある。
ジェームズ・ボンドが所属するとされる英国の秘密情報機関、別称'MI6'は、世界の資産と所有関係の大変動を回避するためにこそ存在し「えよう」。
もっと抽象的にとぼけた言い方をすれば、価値と権利の大変動を避けるためだ。
これこそ保守主義の遂行というのなら、そのとおりだろう。
ヨリ具体的には、世界の戦争を回避し、革命を回避し、脅迫テロリズムも回避し、ともかくそういう大量無差別殺人を回避する。
それらのためならば、自身は暴力行使も認められている。
そして。
これらを実現するためには、徹底した情報収集力かつフレキシブルな資本投入力も必須に違いない。

なぜ、そこまで出来るのか ─ それは英国にそういう巨大な資本筋が厳然として存在するからで…と考えてみれば、もはや絵空事の娯楽だよでは済まされまい。

なんだ、勝手につらつらと書きやがって、おまえは'MI6'などについてちゃんと調べたのかよ ─ と言われるかもしれない。
しかしね、上に挙げた「ような」機関の能力と活動の真相をだ、どうやって「ちゃんと調べる」ってんだ?
ネットでいくらコチョコチョと検索しても、むだむだ。

じっさい、ここまで書いたほとんど全部が僕なりのロジカルな想定である。

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そういえば、近代以降の英国はスパイ能力が極めて高く、ヨーロッパが19世紀~20世紀初頭まで勢力均衡を為しえた真因は英海軍力の傑出した強さのみならず、諜報力が卓絶していたからだ、との見方がよくなされている。
じじつ、英国は日本の明治維新時(その前夜)から日本国内の情勢をずっと探っていて、江戸幕府よりも薩長の方が経済力や軍事力に勝っている由を知っていた、ともよく指摘される。
英国の情報力と諜報能力は、昨日や今日に始まったことではないのだ。


※ なお、「ゴルゴ13」というつまらない漫画がある。
なぜつまらぬかといえば、ゴルゴ13にては世界のありようを定義しておらず、だから戦争や革命などの是非の判定は一切行わないとの徹底的ニヒリズムの体現となっている。
しかもこの'13'は、7よりももっと変則的な素数であり、しかもこのコードネーム13は二桁だ、つまり似たようなやつは他にほとんどいねぇんだと主張しているような気が


以上