2019/07/03

世界史の理解は極めて難しい

世界史をひとつの学術分野と見做すならば、世界史科こそは最も思考難度の高い(高すぎる)学術ではなかろうか?
我々人類の人知と能力は時間経過を伴って合目的に蓄積されてきたものか、はたまた、全ては無目的にして雑多な偶然に過ぎなかったのか、判断が極めて難しい上に、一貫した判断論拠さえも呈されていないからである。

一ファンとして考えるに、世界史科は少なくとも以下について思考の方式を明示していないように見受けられる;

①過去における諸事実が虚偽ではなく真実であると実証出来るか?
②実証されうる複数の事実間にて、何らかの動因と効果についての普遍法則が見いだせるか?
③それらは物質上の変化の法則か?勢力間の貸借や権利の法則か?
④普遍法則があるとして、それらから未来まで予期させうる理論を編み出せるか?
以上の①~④を検証し続けていけば歴史上の事実についての功罪を判定しうるか?


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政治経済や地理の学校教科書を一瞥すれば、人間の文明をつらぬいて説明を図る法則と理論が幾つも呈されている。
だから基礎教養と冠してもよかろう。
その目的は、どこまで真理であるかはさておき、「たとえば」以下の諸論題を説明はかるべきものであろう。

・国家領域の体積と人口に必然的相関はあるか?
・需要とは何か?いかに定義出来るか?
・エネルギーとは何か?仕事とは何か?
・コストとは何か?生産性(プロフィット)とは何か?
・技術(テクノロジー)の進歩とは何か?

・通貨決済は文明の必然か?
・ネット/AI化によって物々交換経済は充足しうるか?
・通貨は全世界にて統合されるべきか?

・政府とは何か?税とは何か?
・代議制による意思決定の移譲は人類の真理か?
・コモンローとシビルローはどちらが人類にとって望ましいのか?
・開発独裁は民族性によるものか、或いは経済事由によるものか?

・人種とは何か?民族とは何か?
・宗教は人為正当化のために必須の思想系か?
・言語は世界統一が望ましいのか?
・戦争とは何か?平和とは何か?

さて、世界史科はこれら論題について合目的な因果関係と普遍性を提示しつつ解説しうるだろうか。


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いやいや、そんなかたっ苦しいことはいいんだよ、過去におけるすべての事象は無目的な偶然の(非)連続なんだ、だから歴史の解釈に一貫性など不要なのだ ─ というかもしれぬ。
うむ、すべての事象について相対化と論理化を決め込むのなら、そういう見方もありえよう。
しかしだぜ、そこまでニヒリスティックに達観を気取るのであれば、経済活動の目的は資産の再配分であるべきだの、選挙権拡大や議会政治こそが政治の真理のはずだなどという「must論」は口が裂けても発せられぬはず。
このように、社会主義思想を突き詰めていくと歴史に普遍性も継続性も無いことになる、にもかかわらず現在生きている我々には多くの権力と義務が必然となってしまう。
まこと、イラつくばかりだ、よって、少なくとも社会主義信奉者には世界史科から早々に立ち去って欲しいものである。



「世界史を学べば国際社会で活躍出来る」 などと公言して憚らない教育関係者もいる。
しかし、軽薄短慮この上ない。
このような人物が本当に国際社会に出て行って活躍しているのか、いやそれ以前に「国際社会たるものの実存性と普遍性と継続性」について真面目に考えたことがあるのか、どうにも疑わしい。

目下のところ、僕なりに世界史を一通り学んでおぼろげながら分かったことがある。
なるほど歴史上の事象は千差万別であろうが、人為による取捨選択は過去の経験に則るがゆえに千差万別ではないこと、かつ、取捨選択の自由は無視や拒絶の自由でもあること。
なんだ、要するに歴史上のあらゆる事象は効用追求の連続ということか、それでは過去は合目的に説明つくとしても未来は導けないではないか、などと笑われるかもしれない。
だから、極めて難度の高い学術分野だと言っている。

以上