2020/04/02

新卒社会人の皆さんへ (2020)

毎年のように似たようなことをここで記している気がする。
だから今回も似たようなこととなろう。
ともあれ、些事はさておき大局的に述べておきたいことのみを記す。
(とくに今年度の新卒社会人に対してはいろいろと思い入れがあり、だからこそとの念も有る。)


科学によれば、さまざまな物質やそれら運動(量)は常に何らかの保存則と対称性から成っている ─ ことになっている。
電磁波、重力、放射線、物質とイオン、核酸もタンパク質もゲノムパッケージ…どれもこれも常に変動し、エントロピー増大によって因果が固定化する一方で、また別の仕事と変動を起こすものの、個々の現象は保存則と対称性によって一応はおさまりがついているようである


しかし我々人間は、個々の現象ごとにバラバラに生きているわけではない。
まして無節操なバラバラが永遠に続くわけでもない。
だから因果にこだわり損得にはもっと拘る

なるほど需要と供給は安定するといい、微分的には需要が供給に対応されている瞬間も見いだせよう。
しかし人生の総体にまで積分してみれば、すべての需要が充足されることはなく、いつもどこかで何かが足りない。
誰もがそうだから、社会全体もそうである。
こうして需要そして供給が常に変動し続けるからこそ、市場という。
市場があればこそ、いたる時にいたる処から知恵がおこり論理を成し実体を動かし物質を燃焼させ、市場関係が更新され、そこに諸君ら新人たちが入門し、ジジイババアが退出していくんだ。

前の世代から譲り受けたものを、その世代に返納するなど出来ないし、後の世代に譲り渡すべきものをその世代から前借りすることも出来やしない。
瞬時瞬時の清算にどれだけ励んでも、大局的には清算など無理無理、そんなものにギューギュー拘る必要などこれっぽっちもないのだ。
じっさい、バランスシートも事業契約書も、いつでも更改出来るように構成されている。

いまや、あらためて思い知らされたこと。
世の中を新たにつくるのは、いかなる先輩たちにも試みられることのなかった、新たな掛け算コンビネーションだ!
これは余剰の遊びではなくて、人間の本性だと信じている。

以上から言えること。
永遠不変でも全知全能でもない俺たち、一人ひとり、おのれの担当製品(商材)に精いっぱいの能力と愛情を注ぎ込む。
それしかないし、それでよいのだ。
それが出来ぬとなったならば、担当製品(商材)を替えればよし。
生きる目的はまず'what'だ、次が'why'、その次が'how'、その次が'when'と'where'で、もっとも短期的でせつないのが'who'だ、そういうこった。


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実践的なアドバイスも一つだけしおく。

新人諸君は、なにはさておき、まずはメモ用紙を準備しろ、そして常に携行しろ、見聞きするもの片っ端からメモしまくれ。
チマチマした付箋などはダメだ、大きめの紙を使うんだ、出来ればB5サイズ以上のものだ、広告の裏紙でもなんでもいい。
これくらいのサイズであれば、まとめていろいろ書き記すことが出来るし、いつでもまとめてノート帳として一瞥できよう。
とくに、新規の世界への了察は理科や社会科の新分野学習に等しく、右脳的(絵画的)に物事をズンズン描き続けること必須、だから大きな紙面が望まいのだ。
また、電話番などで取り次いだメッセージもつらつらと書き残し、ビッと引きちぎって上長などに手渡すことが出来る。
一方で、書き損じをしてしまったメモは引きちぎってとっとと捨てるんだ、いちいち名残惜しんでいてはいけない。

以上の機能を同時に果たすべく、B5サイズ以上の紙を常時20枚くらい束ね、これを左上リング綴じの構造にしておけばいい。
これで重要なメモはノートとしてずっと保持し続けつつ、不要な紙はどんどんちぎり捨てることが出来る。
ホントに重宝するから。


もうひとつ付記。
見積や契約については、職制を問わずほとんど誰もが実務上拘束されることとなろう。
これらの意義について精緻に了解しておきたい。
口頭による提示や合意ならまだしも、文書によるそれらは諸君らの想像を超えた恐ろしい失態を導きうるものだ。
例えば、同一の商材についての見積書が複数存在する場合、購入希望者はどちらかおのれに有利な方を正当な文書と見做し、それ以外の文書は黙殺すること、当然である。
契約書もしかり。
くれぐれも慎重に、ワンアンドオンリーの原則だぞ、ナンバリングと更新日時の明記を絶対に忘れるなよ。


以上