2020/04/09

大学新入生諸君へ (2020)

まずは大学入学おめでとう。
新入学生の諸君らは、この冬から春にかけてのまさに世界の事態急変に半ば唖然としているだろうか、いや、若いわかい正直な諸君らのこと、如何なる事態をも真理の体現と見做し、たちまち順応してしまっているのではないだろうか。
その一方で、永年に亘ってさまざまな虚偽に慣れっこになっていた我々社会人は、いかなる虚偽をもっても交換しえない厄介な物質によって真理の世界に引き戻され、みっともなくも戦々恐々としている。
だからといって、大学新入生の諸君までもが恐れ戦いてはならぬ。
むしろ、真理と虚偽の両面からこの世界を知る絶好の機会と捉えたい。
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「真理」について、思い返そう。
諸君らは高校時代までに、さまざまな真理について学んできた。
力と質量と熱と仕事とエネルギー、電荷と電場と磁気と磁場とインダクタンスと交流電流、細胞と電子伝達と光合成と核酸、遺伝子と免疫と進化、自然権と自由権と社会権と多数決、国と自治体と代議制と法と裁判、株式と税と金融と財政と貿易と為替、そして煌くほどの芸術と伝統文化と文学作品、それらのどれよりもエキサイティングかつ腹立たしい数学の諸分野 ─ などなど。
どれもが、個々にみれば真理である。
現下の世界を混乱させているウイルスも生体の内外における真理として実在し続けている。

しかし、だ。
これら諸々の真理を束ねて総論化してみると、実はところどころに「虚偽」が混じりかねない。
例えば、いかなるウイルスも大地震も物理上の実体だ。
一方では、カネというシステムは財貨の市場運用における知恵である。
それでは、カネによってウイルスや大地震や巨大隕石の実体量を完全に制御出来る、と言えるだろうか。
もちろんこれは馬鹿みたいなたとえではあるが、このようにさまざまな真理の間隙にはつねに虚偽が入り込みうる。
あるいは、このようなおかしな宗派や脳波に制御された人たちと出会うこともあるかもしれぬ。
その虚偽のおかしさこそを、諸君らは大学で学ぶべきだ。

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さて。
これから諸君らはSNSをいっそう頻繁に活用してくことと察する。
そこで、ひとつ考えて欲しいことが有る。

人間の言語音声を文字化…これは情報処理である。
その文字を符号化…これも情報処理だ。
その符号を暗号化…これも情報処理。
そのデータを転送…これも情報処理。
ごく簡単に考えて、このコミュニケーションは往路だけで少なくとも4段階の情報処理を為していることになる。
このように情報処理プロセスの多様化/多段化を進めることによって、機器メーカやSEやプロバイダや広告事業者の売上(利益)が増すことが期待されよう。
さはさりとて、これによって本当にあらゆる人間のコミュニケーションが確実になるといえようか?
そもそも、直接出会ってのコミュニケーションであればこれらの情報処理は不要であるし、手紙のやりとりであっても音声の文字化だけで済む ─ むしろこちらの方が、人間同士の意思を迅速に大量にそして感覚的に交換出来るとは言えまいか?

どうだろうか?
利便性も損得も各論としては真理であろう、だが総論として真理を成すとは限らない。
もちろん、これだって超大雑把な例題であること百も承知、それに、合成の誤謬だのなんだのと論理表現しうることも分かってて書いている。
いや、外部不経済にあたるのかな?
ともかく言いたいことは、それら合成のどこがどんなふうに誤謬しているのかを見極めて欲しいってことだ。


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勉強はどこでも出来る、オンラインでもリアルタイムでも録画でも。
ただ、気心知れた連中とそうではない連中が数十人程度で直に集まって、適度な緊張感と信頼感に揺さぶられつつ議論をぶっつけあうのが一番楽しい。
世の中の大人たちのあらゆる集団スケールもだいたいそうなっている。
だから、諸君らが一日も早くキャンパスに足を運び、わっさわっさと笑いあったり睨み合ったり怒鳴り合ったりできるよう、切に願っている。

以上