2022/06/25

メタバース44 (経済の物理)

東大や京大あたりを狙っている本格派の受験生諸君。
受験勉強は楽しいか? そうかやっぱり詰まらないか、そうだろうな、たかが大学受験など、あくまで知識命題の上限量が定められているし、一方ではおのれの自発的な着想をぶちまける機会はほとんど無い。

そこで、諸君らの退屈しのぎの一助たりうること期して、おそらくほとんどの学校のほとんどの教材も教師も講師も呈さないであろう論題を思いついてやったぞ。
理科と社会科の思考をビビッと新たに触発しうる論題だ。

或る特定のモノにおいて、我々は永遠不変の「絶対価値」を設定しうるだろうか?
いかなるモノにおいても「絶対価値」を設定していないとしたら、あらゆる「価値」は暫定的な相対関係に在るに過ぎない?


「価値」がどうこうとの議論になれば、必ず出てくるのが「仕事」でありまた相応の「エネルギー」だ。
エコノミストたちは、「仕事」そして「エネルギー」の総量が、GDPすなわちカネまわし「価値」の総量と常に同じになる(といったような)由を滔々と語る。
また左翼的な思想にては、労働と生産物の「価値」量がどうこうという。

本旨につき、高校物理に準じてちょっとだけ掘り下げていこうじゃないか。
とはいえ、もともと俺は理系じゃないので、とくにコマイ話を精密に展開するつもりはねぇんだ、だからリラックスしてさーーーっと読みましょう。
※ どこか表記間違いなどに気づいた際にはさり気なく訂正しておくつもり、ずいひつなのだからそんなんでいいのだ。


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あらためて、「仕事」と「エネルギー」とは、そもそも何か、力学の超基本作法に則ってちらっと捉えなおそう。

仕事をWとして超総括的にW = F s cosΘ として表す。
(相応のエネルギーとしては、運動エネKや位置エネUでも表わせる)
ここでのFが「力」、s cosΘが変位距離。
力の強さという場合もあるがこの'強さ’とは’力の量'と同義であろう、と文系あがりの僕などは了解しており、まあそういうこった。
この仕事W(および相応のエネルギー) は物理単位の[J(ジュール)]ないし[W(ワット)]をくっつけ、力Fには[N(ニュートン)] を冠すれば物理量として明瞭だ。
だから上の関係式は W[J] = F[N] s cosΘ[m]

じゃあこの力F[N]とはいったい何かといえば、或る実在物と別の実在物がはたらきあって成す/受ける成果量 のようである
そこで、力Fを成している物の内訳コンビネーション、特に産業界でも大学受験でも重要な電気と磁気の内訳例を記してみる。

電場にはたらく力(強さ) F = q x E
これらもやはり論理がゴチャゴチャにならぬよう、物理量単位をつけて明確にしよう。
q は電荷の電気量を表し単位は[Cクーロン]、また E は1電荷あたりの電場の強さを表し単位は[N/C(ニュートン毎クーロン]]。
だから、F [N] = q[C] x E[N/C] (ベクトル)
なお、電場強さEは電気量qと比例的に力線密度として表現も出来る。

一方では、磁場にはたらく力(強さ) F = m x H
やはり物理量単位をつけて、ここでの m は磁極の磁気量を表し単位は[Wb(ウエーバ)]、そして H は1磁極あたりの強さを表し単位は[N/Wb(ニュートン毎ウェーバ)]である。
だから、 F[N] = m[Wb] x H[N/Wb] (ベクトル)

ちなみに、これら電場の強さEと磁極の強さHは別物ゆえにこそ、磁場と電流の力率をひっかけつつ磁束密度Bとしても表現出来、この磁束密度Bと力の変化速度vを使えば F = q(E + (v x B)) とも表せる。


もっと掘り下げよう。
電荷の電気量q「c」を元に、物質の一応の最小粒子つまり電子の電気素量e[C]までをも表現でき、ここは実際の数値もひっかけて
1.60 x 10-19q[C]  ≒ 1e[C]  とまとまる(知ってんだろ)

ここまでの論旨の大本はそもそも仕事W[J]の内訳であったが、これを相応のエネルギー[J]と内訳の電位差[V]に置き換えつつ、ここに電気素量e[C]を直結した表現だってあり、ひっくるめて電子ボルト[eV]。
1.60 x 10-19q[C] x 1[V] = 1.60 x 10-19[J] ≒ 1[eV]

一方では、電子の電気素量e[C]を元に比電荷ベースで計算をすれば、電子の質量m[kg」も実際値込みで導ける。
9.1 x 10-31[kg] = 1m[kg]
さらに、質量m[kg]とその運動量Pが総エネルギーE[J]と等価に対応とし、とくにこれが運動量P=0の静止エネルギーであるとすると
相対性理論でよく知られる E[J] =m[kg] x c2 とまとまり……


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以上、高校物理のほんの一端ではあるにせよ、とりあえず電気と磁気まわりでここまで;
仕事W[J] エネルギー[J]
力F[N]
電荷の電気量q[c] 
磁極の磁気量m[Wb]
電子の電気素量e[C]
電子の質量m[kg」

さらに組み合わせ量として;
電場の強さE[N/C]
磁場の強さH[Wb]
磁束密度B
電子ボルト[eV]
などなど。

我々はどこにも「絶対価値」を設定していない。


どこをとっても「絶対価値」が無い、とりわけ物質の根元ともいえる電子の電気素量e[C]にさえも絶対価値を設定していない ─ となると;
金属通貨に価値を設定しうるのはどういうわけか?
金本位制が成立しているのはどういうわけか?
電子マネー、マイニングビット、ブロックチェーンレコード…これらに価値かちカチが設定されているのはなぜ?
電気や磁気の量によるって?でも電気電子磁気のどこにも絶対価値はないんだぜ?
さらに、紙幣(銀行券)や証券にすら価値を設定しているのはどういうわけか??
それどころか、生命の細胞物質に)えも価値が設定されうるのはどういうわけなんだ?

或いはゲノムなどといった「情報」においてこそは何らかの「価値」設定が出来る?
いやいや、むしろ我々人間の脳神経こそがさまざまな入力情報に「価値」をおいているに過ぎないのだという見方も出来、たとえば養老孟司氏の本などを拝読しているとそういう着想をも大いに喚起されうる。

※ なにはさて、人間による「価値」設定などどこ吹く風で物理学上の実在への追求は続き、素粒子だの重力子だのに突き当たることにもなり…

※※ なお、さらに熱だの分子運動量だのエントロピーだのという話に持っていけば、温暖化と仕事/エネルギーと経済成長というワイルドでスリリングな考察も展開できよう ─ が、面倒なのでそれらはまた別稿にて。

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なんだか論旨が散逸しかけてきたが、本稿で語りかけたかったこと ─
あらゆるモノの根元において「絶対価値」を設定していない人間が、さまざまな産品や商品さらに人間自身においては何らかの価値を設定しており、それらを元にして仕事(エネルギー)や労働に暫定的に価値を設定しては滑ったり転んだりしている…といったところ。
面白かったかな?
え?なになに?面白くもなんともない?
世界は虚構で出来ている気がしてきたって?
エコノミストも左翼もバカばっかりじゃないかって?
世の中が信用出来なくなってきたって?
いや、人間の脳神経そのものが狂っているんじゃないかって?

ねえ、理科や社会科をワンサカと勉強してみようって気になってくるだろう、それでいいんだ。


以上