2012/01/13

【読書メモ】 日本は「侵略国家」ではない

※ 本書著者の田母神氏が2014年の東京都知事選から東京都知事選に至る選挙活動中の経緯にて、氏の事務所関係者が政治資金の不正横領を行っていたことが判り、2015年以降の氏の政治活動の動向が注目されている。
ただ、言い方は悪いが「たかが数千万円」のことであり、国政の抜本的な在りように挑み続けてきた巨大スケールの同氏としては、あまりにも寂しい事態顛末ではある。
なお以下の読書メモは、本件には委細かかわりなく記す。
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『 日本は「侵略国家」ではない!』  (海竜社刊) 
著者は、前・航空幕僚長の、かの田母神俊雄さんと、知的生活をすすめる最強政治哲学者こと、渡部昇一さん。
このお二方が、互いに手記やコメントを書き綴りながら展開する、まさに義憤と知性の火花散るコラボレーション。
3年前の年初に書店に並ぶや否や、大論争を巻き起こしましたね。
もちろんこの論争は、まだ終わっていません。 
以下、全てが事実と観察による一般考察であることを信用して、ちょっとだけ抜粋します。



・政府は、とくに非自民党系は、いわゆる「村山談話」を唯一無二の政府方針とし、それ以外を「全否定」している。
思想・信条の自由にたいする明らかな攻撃である。
憲法違反じゃないか。
これで民主国家といえるのか?

・東京裁判とは、不法な司法行為であり、これは世界の常識である。
そもそも、マッカーサー条例という「事後法(遡及処罰)」 にて人間を裁いた。
しかし事後法による処罰は、行為当事者の利益となる場合を別として、原則禁止である。

具体的にいえば、第二次大戦以前には、「国家機関として実行した行為については、実行者は免責される」とされていた。
しかし、戦争が実際に終わったのちの東京裁判で、あとから出てきたマッカーサー条例によって日本の指導者の刑事責任がとわれ、従前の免責ルールは無視された。
(もちろんこれによって行為者の利益が増進されたわけがない。)

・そもそも東京裁判で裁いたのは、日本を侵略戦争に誘導した「個人」=いわゆる戦犯にすぎず、日本そのものを裁いたわけではない
─ と、キーナン首席検察官も宣言している。
で、なんで我々が謝罪しなきゃいかんのだ?

・ドイツの戦争犯罪をおかしたのは、あくまでナチ党員とされ、ドイツ軍は国際法では裁かれなかった。

・国際法において、戦争とは外交手段の一環であると解釈される。
ゆえに、戦争において当事者の一方だけが裁かれるということは、論理的におかしい。
神聖ローマ帝国を舞台とした宗派闘争、およびハプスブルグ諸国とフランスの便乗介入が、30年戦争をまねいた。
それを片づけたのがウェストファリア条約。
これが国際紛争解決の基礎となり、そのごヨーロッパの国際戦争においては、当事者一方だけを裁いた事例はない。

・マッカーサーは、1951年のアメリカ上院の軍事外交にかんする委員会にて、「日本は自国の安全保障のために戦争をした」 と証言している。

・サンフランシスコ講和条約にさいして、日本には、英米との単独講和を強硬に反対する勢力があった。
たとえば、東大総長の南原繁はスターリンの指示をうけ、「日本が独立回復の条約を結ぶためにはソヴィエトや同盟国も一緒じゃないといやだ」、と主張している。
社会党も、英米との単独講和に反対した。
ソヴィエトに攻撃されたらどうするんだ、と。

なお、次の東大総長の矢内原忠雄は、戦前に、「神よ、日本を滅ぼしたまえ」などと

・A級戦犯とされた重光葵が死去したとき、国連は黙祷をささげた。
重光は日本の国連復帰に大変に尽力をした、外務省のエース。

・その同じ外務省の小和田央が、1985年の衆院の外務委員会において、「日本が悪かった」 という侵略史観をぶちあげた。
彼は、「東京裁判有効説」 をとる横田喜三郎に東大で教わっている。
これが現代まで続く「村山談話」の元ネタらしい。

・太平洋戦争にさいし、アメリカ側が最後通告として突き付けてきた「ハル・ノート」 。
これは、コミンテルンの手先であったホワイトが起草し、さらに蒋介石が無理難題を織り込んだもの。
日本を対米戦争に引きずり込むための、陰謀。
なお、ホワイトはのちにFBI にスパイ容疑で挙げられ、自殺している。

・張作霖の爆殺事件は、ソヴィエトの手先が起こしたもの。
現在のロシアで、よく報道されている。
また、事件直後に調査にやってきた英リットン卿は、神秘的な事件で真相は分からないと言った。
リットンを派遣した国際連盟は、当時、きわめて反日的だったが、それでもリットンは日本の犯行だとは言わなかった。

・盧溝橋事件は、直後に日中間で停戦合意が結ばれている。
それどころか、当時の中国共産党スパイの証言によれば、「あれは日本を大陸の戦争に引きずり込むための工作だった。」
なぜ、日本の侵略的軍事行動だったなどといえるのか。

・そもそも、文民統制(シビリアン・コントロール)」とは一般に誤解されやすい理念である。
文民統制とは、国際的な紛争にまきこまれたさいに、軍ではなく政治が最終決定するというルール。

だからこそ、戦争のリアリストである軍部より、むしろ政治の側の発狂状態によって、戦争が取り返しのつかない事態におちいることがある。
その例が、日中戦争。
軍部の実戦的分析と戦争反対論を無視し、政権の体裁のために暴走したあげくのことだった。
また、ヒトラーという「文民」の発狂的暴走に振り回されたドイツ軍部の戦争も、おなじ。
さらに、中国共産党という「文民」が人民解放軍をふりまわし、天安門事件がおこった。

・現在の自衛隊は、実に精強かつ、すぐれた分析力と実践力をもっているが、自衛隊はあくまで、防衛省の内部局という「文官」の下に位置づけられている(2009年時点)。
さらにその上に、政治局という「文官」の組織がある。
自衛隊がかりに北朝鮮拉致被害者の救出作戦を考えたとしても、「文官」によって一方的に否定されてしまう。

・ 石破茂は、防衛大臣だったころ、「靖国神社は参拝しません」「大東亜戦争は日本の侵略戦争」 「従軍慰安婦はあった」 「南京大虐殺は事実だ」 と語っている。
でも、なんのお咎めもない。
一方、「日本は侵略戦争をしていない」と論文に書いた田母神(元)幕僚長は退職させられた。


以上