※ 本旨は意外にも(?)論考が難しく、何度か書きなおしております。
いつか別稿で書いたが、英文を文法分析し、いちいち品詞のラベリングを続けていけば、それだけその英文の本旨から離れることになりうる。
文章というのは数式や化学式と本質的に違うもので、個々要素の属性が全体の意味を演繹するとは限らず、全体としての意味から個々要素の属性が帰納されるとも限らない。
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ちょっと遊んでみよう。
"wallpaper", "flowers", "show" - この3つの単語いずれか、あるいは全てを用いて、最大3語までをつくる場合、何通りの言葉を生成しうるか?
たとえば wallpaper だけでも独立した1つと数え、wallpaper show でもまた別の1つとし、 show wallpaper
flowers でもさらにまた別の1つ、そして flowers show flowers でも別の1つとする、など。
そうすると、「3つの単語どれかで1語をつくる場合」は 3通り。
「3つの単語どれかで2語をつくる場合」は 32 = 9通り。
「3つの単語どれかで3語をつくる場合」は 33 = 27通り。
つまり 3+9+27 で39通りもの言葉を生成しうることになるのだ!
さて、品詞分解という分析手法は、これら単語の組み合わせ一つひとつにおいて、それぞれの属性を峻別する技術なのである。
たとえば;
wallpaper…これは名詞として汎用するが、動詞かもしれない
flowers …これも名詞として汎用だが、動詞かもしれない
show…これは名詞としても動詞としても使う
wallpaper flowers…これはwallpaperが形容詞的に使われた名詞かもしれぬ、がもしかしたら wallpaper が flower するとの意かもしれない
wallpaper flowers show…これは show が名詞かもしれぬが、動詞かもしれない
wallpaper show flowers…これは show が動詞かもしれぬが、wallpaper show が flower するのかもしれない
show flowers wallpaper…これは show が wallpapers を flower sるのかもしれない、が、flowers wallpaper は名詞として意味をなさぬから文法的に間違っている
show wallpaper show…これはshowを動詞としても名詞としても…
…といったあんばいに、ここでは総計39通りの品詞ラベリングをひとつひとつ実践することになる。
まるで、ロボットに言語生成プログラムをインストールしているようだ ─ これは成立しうる、これも成立しうる、これはダメ、これは……などと。
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そもそも、英語を話したり書いたりする人間が、毎回まいかい生成可能単語を一件一件リストアップし、それらに文法のラベリングを付しながら作文しているか?
違うでしょう? 我々は文法という論理属性のみには拘束されず、単語を自分なりの知識で選び、それらを組み合わせて、「全体としての文意を形成」 しているんでしょう?
だから、それを読まされる側に立ってみても、 「既に書かれ/話されてちゃった文章」 において、「全体としての文意を想定」するしかない。
だから、化学式や数式とは違うんだって言ってんの!
仮に、wallpaper shows flowers と記してあったら、読み手(聞き手)としては、これら単語一個一個を品詞分析して論理的な組み合わせを検証するのではなくて、全体としての文意を連想、この場合は 「壁紙が花を見せてくれる」 と了察することこそが求められている。
そのさい必要なことは、むしろ 「単語が持っている知識の幅」(とくにどれでも動詞となりうる)をたくさん覚えること。
"big city" という英語表現がある。
この "big" が如何なる意味かを理解するには、文法論理だけでは絶対に不可能。
どうしたって、英米の経済学などに則った知識が必要になる。
英語科というのは最も学際的、なようでいて、実際は最も知識教養力が低い場合も多い。
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でも、「国語科」では品詞による文法分析をさんざんやらされたぞ…と反論されるかもしれない。
しかし、それでも言いたいことがある。
「国語」 というのは、既に我々が心身ともに一体化している言語であり、さてそこで本当に単語レベルでの用法が論理的に厳正かどうか ─ を国民として謙虚に再確認するためにこそ、品詞分析の手法を覚えるのである。
だからこそ。
たかが受験英語のレベルで文法分析など愚の骨頂、やめなさい。
こんなもの押しつけて時間稼ぎをしている連中自身も、英文法の深淵なんか知っちゃいない、それに大学入試でそんな深淵まで問いただすこともない。
こんなことして非実践的な論理分析ごっこに酔っている余裕があるのなら、数学や論説文読解でもっと真剣な論理分析に頭を使いなさい。
むろんそれら科目とて本当に人間的かどうかは分からぬが、論理的思考力を鍛える上ではずっと実践的ではある。
以上