2018/06/17

英語は理科で出来ている? その3

この連載は、英語という言語が物理学や化学などのいわゆる理科によってこそ現代風にブラッシュアップされてきたはずだとの思い込みによるものである。
そもそも、僕なりに電機メーカにて技術仕様書や製品提案書の英訳を重ねていくに際して気づいたこと ─ それら技術製品にかかる基幹的な理科知識そのものが英語の概念構成とかなり対応しており、だから理科の基礎知識の増強が英語勘の増強を導きうるのではないか
こんな思いつきは今に始まったことではないが、ともかくもこれが正しければ、英単語の淵源を「物体や力や運動」と捉えなおしてこそ、我々日本人の英語表現は「英語らしく」聞こえるようになるだろう。
かつ、本旨は、特に 「理科の素養は人一倍あるのだが英語がどうにも苦手で」 と嘆く学生諸君に対しても、着想上の一助たりうるのではないか (但し英語を勉強したからといって理科の素養が身につくわけではありませんよ。)

さて今回は、とくに我々がヨリ汎用的/日常的に(しばしば日本語として)起用する英単語につき、それらの物理学や化学における語義を思いつくままに挙げてみよう。
とはいっても、前回挙げた電気の例のような「力と仕事とエネルギーにおける概念上の乗除」までは踏み込まず、かつ「力と運動」は大雑把に同じ概念としてみた。
※ 品詞がどうこうなどとつまらないことは考慮しない、英語表現において名詞は動詞でもあり動詞は名詞でもあり、そんなもの目くじら立てて分析してもキリがないからである。

  • way : 左手法則における磁界と電流と力のイメージ。様々な力や運動の方位。
  • course : 力と運動の進路。
  • direction : 方位のこと。
  • turn : 力の方位を変えること。
  • route : 運動の経路。
  • cycle : 運動の周波。
  • track : 運動の軌道。
  • corner : ボクシングのリングなど面における一角。
  • side : 面や側のこと。
  • phase : 運動の局面のこと。社会人なら誰もが用いるフェーズ合わせなどの言はここから来ている。
  • body : 物体のこと。
  • object : 或る物体に対する客体。更に、或る客体に対する主体が'subject'である。
  • thing : 物体「のような何らかの実在」。
  • matter : 物質。'material'は素材。
  • substance : 特定の物質のこと。
  • point : 力が発生ないし合流する点のこと。
  • hole : 電子などの物体が立て続けに収まる孔 (窪みは'dent')。
  • end : 物体の移動の終端。
  • far : 物体の移動距離。
  • project :  力や運動を投影すること。多くの学生が間違えるが'plan'とは別概念である。
  • zone : 仕事が発生する域内のこと。
  • shape : 物体の形状のこと。
  • source : エネルギー源。
  • focus : 力を焦点に集めること。
  • go : 複数の物体の距離が離れること。
  • come : 複数の物体の距離が近づくこと。
  • hang : 力や運動を放置し、新たな力を加えないこと。
  • hold : 力や運動を特定状態に保持すること。
  • drive : 運動を制御すること。
  • boost : 力、物体、エネルギーの位置(電位など)を引き上げること。
  • fall : 力、物体、エネルギーの位置(電位など)を降下させること。
  • draw : 力や物体を引き寄せること。
  • blow : 力を急速に増大させること。
  • flex : 力や運動を緩和すること。
  • release : エネルギーを力として解き放つこと。
  • send : 物体を或る位置から別の位置に移動させること。'deliver'だと放つの意になる。
  • forward : 物体を前進させたり転送したりのこと。
  • transmit : 力を伝達すること。
  • transform : 物体の形状を変えること。
  • join : 物体を結合すること。
  • part : 海水から塩化ナトリウムなどのイオン分子を分離するイメージ。'separate'もだいたい同じ。
  • divide : 塩化ナトリウムのイオン分子を塩素とナトリウムなど元素に分離するイメージ。化学用語では溶解'dissolve'ともいう。
  • oxidise : 酸化すること。なお酸化に対する還元は'reduce'であり、これは酸素を取り出す感じ。

ざっと、このあたりまで列記していて、あらためて気づかされたこと。
コンピュータ関連の従事者は、日常のコレポンにおいても数学上の(数学的な)英語表現 - たとえば 'increase', 'include', 'induce', 'deduce', 'reduce', 'configuration', 'entity' などなどを頻繁に用いるようにも見受けられる。
それどころか、我々が日常においてちょっとした論理上の表現を活かす場合であっても、数学やコンピュータにおける論理表現を起用するケースがじつに多い。
そういうわけで、次段では数学やコンピュータの論理表現と英語との近似性について挙げてみるつもり。

以上

謝辞

ここに提示の記事は、いずれも私自身の判断責任のもと編集・投稿したものです。

大半の投稿は学生など若年層向けを意図してやや平易な表現にて、一方では通俗性を極力回避しつつ、論旨の明示性を意図して書き綴りました。

あわせてまた、社会人の皆様にお読み頂くことも想定しつつ、汎用性高い観念知識を相応に動員しながら記した積もりです。

私なりの思考着想によるささやかな閃きが、皆様の諸活動にて何らかの光源たり得れば、望外の喜びであります。

山本