それでも、それらコンテンツを具体的な性能仕様に則って個別定義するならばまだ易しい、だが一方で、これらを文言によって観念的に定義しようとすれば、かなり精密な場合分け表現が必然となろう。
なにはさて、私的な由もあって、今回はとくに特許法と特許権について概括書などを参照しつつざーっとまとめてみることにした。
※ こんな程度のものはちょっと本気出せばすぐに投稿出来るんだ、あんまり舐めるんじゃない(笑)。
【特許法】
「発明」を保護する。
<「発明」について、基本的な要件>
・「発明」 とは、自然界で経験的に見出される自然法則を利用した、「技術的思想」 の 「創作」行為である。
・「技術的思想」 とは、具体的な技術(手段)を支える抽象的なアイデアで、有用性があり、利用可能性があり、反復可能性があるもの。
・とくに、「物の発明」 とは、「技術的思想」 が形象により具体化された発明を指す ─ 現在では(2002年改正以降)、無体物としての「プログラム等」も含み、電子計算機に対する計算指令と処理用データ(構造)も 「物の発明」 に該当。
・一方で、「方法の発明」 とは、「技術的思想」 が一定目的の系列的な行為/現象によって(経時的に)具体化された発明を指す。
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<「発明」および「技術的思想」における主な解釈(判例)事例>
・全体として自然法則を利用しているものは、「発明」といえる。
が、全体として自然法則に反しているもの(いわゆる『永久機関』など)は、「発明」とはされない。
・コンピュータやネットワークを活用した歯科医療システムは、対象は人間ではあるが、その技術的手段にて自然法則を利用、よって「発明」といえる。
・『辞書を引く方法』 は、人間の子音識別能力に着目したもの故、「発明」といえる。
・ネットオークション参加システムは、目的が人為利害とはいえ、ネット媒体とコンピュータ(いずれもハードウェア)の協働によってこそ実現可能、だから、全体としては「発明」である。
・味の素について、グルタミン酸塩自体は既知であった、が、それを調味料の製造に用いた=用途「発明」をした味の素は「創作」を成したこととなり、だから「発明」である。
・藍藻類には錦鯉の斑紋や色調への効果があり、これも既知ではあったが、この特性を活かした鯉の飼育方法は「創作」といえ、よってこの方法も「発明」といえる。
・ビットデータを短縮するハッシュ法計算は、自然法則を利用してるとはいえず、だから「発明」とはされない。
・字表なども、人間心理に則ってこそ意味をもつため、「発明」とはされない。
・原子力エネルギー発生装置(昭和41年の事件のもの)は、危険除去が技術的に不可能、つまり利用可能性に不十分であり、「発明」の完成とは見做されなかった。
なお、二つ以上の発明が、同一ないし対応する特別な技術的特徴/関係を有する場合、発明の単一性要件を満たすとされる。
よって、同一の特許出願書として特許権を請求出来る。
たとえば、特許出願請求の1項にて、或る高分子化合物を明記し、2項にてはその物質からなる食品包装容器について明記したとする、と、この1項と2項は発明の単一性が認められうる。
また、或る物の発明とともに、別項にてその生産方法や生産用機械、その物の特定仕様を活かした別の物を明記してあるとしても、まとめて単一の発明と認められうる。
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<特許権取得のための実体要件 以下①~③全て>
① 産業上の利用可能性が有ること
特許法解釈では、「発明」 の実体成果物が供される 「産業」 の厳密な定義は無い (金融や保険さえも経済市場と関わりがあれば産業とされている)。
医療行為自体は、人体を構成要件としているので産業ではない、ともされるが、治療の医薬品は生産品であり、これについての 「発明」 は産業上の利用可能性要件を満たすとも見做される。
逆に、利用可能性さえあれば、その結果物が戦争用途であろうとも、産業上の利用可能性が有るとされる。
② 新規性が有ること
特許権は排他的な独占的権利を有するため、新規性無きものに特許権を乱発すると却って自由な経済活動を阻害しうる、との憂慮から、特許権取得にさいしてはその 「発明」 が未だ社会に知られていないことが要件。
或る「発明」の特許出願前に、それが日本ないし海外にて公知のもの(かつ守秘義務が課されていないもの)と同じであれば、その発明はもはや新規性が認められない、だから特許権を獲得出来ない。
やはり特許出願前に、日本ないし海外にて、公然と実施されているか、刊行物に記載済みか、電気通信や電子媒体にて閲覧可能となっている発明も、新規性は認められない。
或る発明に対して、唯一の特許権付与がなされるべき、との原則解釈が概ね普遍的である。
よって、特許出願は「先願主義」が普通である ─ 日本でも2013年の包括改正法から先願主義がとられている。
③ 進歩性が有ること
或る出願「発明」に進歩性が有るか否か ─ その出願内容と最も近いと考えられる公知の先行技術(最低でも2つ)を「引用発明」とおいて比較対照し、その出願発明の構成が「引用発明」から容易に導かれうるか否かを判定。
もし、「引用発明から容易に導かれない異質の効果を有するもの」であれば、その出願発明には技術的な進歩性があるとする、よって特許権が認められる。
たとえば化学物質の特許出願にて、化学構造が既知の物質構造と著しく異なり、先行技術からは予測されえない性質を有している場合、進歩性が認められ、よって特許権が認められる。
なお、上の①~③以前に、もとより「不特許事由」もあり、それは、出願された発明が公序良俗や公衆衛生に反する恐れのある場合。
一方で、或る「別の取締法則」の下にて製造・販売が禁じられている発明であっても、その取締法則そのものが特許法上の「不特許事由」となるわけではない。
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<発明者・特許を受ける権利>
「発明者」 とは、発明=技術的思想の創作にて、その新たな着想を得た者、あるいは、その着想を一定の解釈原理を前提に具体化した者。
特許法にては、「発明」 は自然人のみが為し得るとの前提にて、自然人たる 「発明者」 に 「特許を受ける権利」 を原始的に帰属させている (この精神が「発明者主義」である)。
二人以上の連続的な創作的寄与にてなされた発明は、とくに共同発明という。
ここで、或る発明にかかる着想者とその具体的実行者が別人である場合でも、この両者が共同発明者である、ただし、前者がその発明を公表ののちに後者がこれを具体化したならば、後者のみが発明者となる。
なお、組織にてその「発明者」に研究テーマを与えただけの者、そのテーマに関わるデータ整理と実験を行っただけの者、さらに、その「発明者」に資金や設備を援助し発明を委託したにすぎぬ者、これらの者は発明者とは見做されない。
「発明者」 にこそ、原始的に「特許を受ける権利」 が帰属し、かつ、発明者人格権も生じる。
「特許を受ける権利」 は、じっさいにその発明が特許権を得た時に消滅、しかも、特許権の拒絶査定によっても、特許取得を放棄しても消滅する。
「特許を受ける権利」 は、発明者から継承者に移転することが出来る (ただし、このさいに継承者がその特許出願する)。
また、第三者に一部譲渡も出来、相続によって複数の相続人に移転も可能、もし共有者がいなくなったら、この権利は消滅する。
雇用関係にて、使用者 ─ 法人、国、または地方公共団体を、総じて 「使用者等」 と称す。
また、従業者 ─ 法人の従業員、役員、国家公務員、地方公務員を、総じて 「従業者等」 と称す。
従業者等が発明を為した場合、その発明が従業者等の現在または過去の職務に属するならば、「職務発明」 とされる。
現代の発明は、組織にて使用者等の人的ないし物的な寄与のもと、その従業者等によってなされる場合が通常であり、そこで、特許法では 「発明者主義」 と 「職務発明」 行為の利害調整が図られ続けている。
現行法の理念にては、従業者等の発明を認めた使用者等が、その発明への対価を支払い、権利を継承。
長年に亘る疑義としては;
職務発明への対価を使用者等のみが定め、しかも従業者等がこれを不足としても追加額を請求出来ない
かつ、裁判所による裁定金額は、使用者等による経済効果の予測と必ずしも合致しえない
などなど。
因みに、青色発光ダイオードは退職従業員による職務発明であり、この発明者が発明対価の追加払いを請求、企業側も経済判断からこの請求範囲内にて対価額を容認した、が、そのご東京地判にてかなり減額された上で和解させられている。
平成16年に特許法改正がなされ、職務発明における妥当な対価額の判断にては、使用者等と従業者等における開示的な手続が重視されるようになり、裁判所も使用者等による発明まで/発明後の貢献努力を考慮すべしとなった。
(…とはいえ抽象的な解釈改正に留まっているのでは…?)
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※ 次段にては、「発明」の経済的価値を実現する行為すなわち「実施」、その実施行為を排他的になしうる「特許権者」、発明報奨規則や報奨請求権などなどについても記す。
また実務上は、特許法のほか経済産業省令なども適宜照会の必要があり、そこんところも。