2019/05/27

大学入試の英文は誰でも読める

アメリカ合衆国のトランプ大統領が、目下のところ訪日中である。
トランプ大統領に、日本の大学入試問題をご確認頂いた。

まずは数学の入試問題を大統領にご覧頂いた。
「ほぅ、日本の数学教育はわが国のよりも概して水準が高そうだな」、と、大統領は嘆息された。

次に、美術や音楽の資料集および授業を、大統領に参観頂いた。
「ほぅ、日本の芸術教育はかなり高尚なものだね」、と、大統領は感嘆の声をあげられた。

次が、英語の(いわゆる)長文読解問題である。
すると大統領は、「おぃなんだこれはキッズの知能テストか」と失笑された。
さすがにこれにはこちらもカチンときて、こんどは早稲田や慶應の入試英文をご覧頂いたが、大統領がちょっとだけ感心の風を見せられたのは早稲田理工および慶應SFCと文の入試英文のみであった。


…以上はすべて空想による冗談である。
じっさい、僕ごときの問いかけが畏れ多くもアメリカ合衆国大統領に相手にされる由もなかろう。

ただ、本稿で言いたいことは極めてシンプルだ。
日本の大学入試における英文読解のごときは、18歳の青少年が理科や社会科を犠牲にしてまで深く掘り下げるような代物ではない。
たかだか6000語かそこいらのヴォキャレベルだぜ、こんなもの英米では10歳のキッズのヴォキャ数にも満たない、それで、高尚ないし深淵なコンテンツの文面が展開されるはずもなかろうが。
ほほぅ?と、日本語訳を一瞥してみれば、うむ、数学や現代文の1/10程度の思考動員で片付いちゃいそうな代物であると知れる。

さぁ、日本の大学を受験する青少年たちはきけ。
どうせ6000語程度で済んじまうキッズの世界だ、英単語と熟語をとっとと覚えりゃいいんだ、それでほぼ全ての入試英文を読める。
どの参考書にも典型的な例文が載っている、どの参考書も似たり寄ったり、あたりまえだ。
こんな程度のちっちゃな世界で、英文の構造ごときをいちいち探求するな、いちいち悩むな、時間のむだむだ。
探求心があるのなら理科や社会科で存分に発揮すればいいんだ、悩みたいのならば難解な数学や現代文で身をよじって苦しめばいいんだ。
そして、本当に高尚な英文にぶち当たりたいのならば、大学に入ってから大人向けの本格的な学術英語を存分に読み漁ればいい。


…と、まあ、こんなふうに考えると、むしろ理科や社会科で優れた成績をおさめ大学に入学した子が、それから初めて英語学習にとりかかっても十分じゃないか、とも考えられる。
この由については、語学と知育の関係も要考慮であろうから、別にまた記すこととする。


以上だ。